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お勧めの疫学の本

臨床の先生方が臨床研究をされるときには、ぜひとも読んでほしい本があります。それは、下記の本です。

「基礎から学ぶ楽しい疫学」 中村好一著

医学書院

https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/108378

自治医大公衆衛生学教授の中村好一先生が執筆された教科書で、現在、第4版が出ています。とてもわかりやすく書かれているのですが、内容はきわめて高度で、これ1冊で、疫学のことはすべて網羅している本です。

脚注に中村先生の気持ちがつまっていて、脚注を読むだけでも楽しくなる本です。私は、いつも机の上において、分からないことがあればすぐに読むようにしています。

お勧めの翻訳ソフト

最近の翻訳ソフトはとても高性能になってきていますね。自分で英語を作文するより、はるかに良い英語文章を作ってくれます。英語の論文も翻訳して斜め読みできるので、愛用しています。一番有名な翻訳ソフトは、グーグル翻訳ですね。最近、医学分野に優れた翻訳ソフトが無料で使える用になりました。私は下記の2つのソフトを愛用しています。

■ DeepL翻訳ツール

https://www.deepl.com/translator

・このソフトをパソコンに入れておくと、翻訳したいところを選択して「Ctrl」を押しながら「C」を2回クリックするだけで、その範囲が翻訳されます。翻訳文もとても自然で読みやすい文章です。

■ DocTranslator

https://www.onlinedoctranslator.com/ja/

・このソフトの良いところは、PDFの論文ファイルを、ほとんど形を崩さずに一気に翻訳できる点です。以前はPDFから翻訳箇所をコピーして翻訳ソフトに入れていましたが、改行などが入り翻訳するのが面倒でした。このソフトのおかげで、PDFの論文が一気にすべて翻訳できるので、とても重宝しています。

病院長と学長、どちらのサインがいるのでしょうか?

大学病院などで研究を行うには、ほとんどの場合、トップの了解を必要とします。

臨床研究法における特定臨床研究においては、「実施医療機関の管理者」の承認を得て研究を実施する必要があります。ここで言う「実施医療機関の管理者」は、多くの場合「病院長」になります。それに対して、2021年6月30日から施行された生命・医学系新倫理指針では研究機関の長は「研究が実施される法人の代表者若しくは行政機関の長又は研究を実施する個人事業主」とされていますので、その許可となれば、多くの大学では「学長」または「理事長」の承認を得て研究を実施することになります。うーん、ややこしいですね。

しゃっくり、ゲップ、あくび、おなら、おしっこの漢字、書けますか?

医学的にはどーでもいい話ですが、しゃっくりやゲップなどの生理現象をカルテに書くとき、なんとなく漢字で書いた方がかっこいいですね。皆さんは漢字で書けますでしょうか。

しゃっくり(吃逆;きつぎゃく)、ゲップ(曖気;あいき)、あくび(欠伸;あくび)、おなら(放屁;ほうひ)、おしっこ(排尿;はいにょう)ですね。あくび以外、読み方も違うのがなんとなく面白いです(これもどーでもいい話ですが)。

特定臨床研究における多施設共同研究について

特定臨床研究における多施設共同研究は、これまでの倫理指針と異なる運用になるため、ちょっとしつこいですが、もう一度、このテーマを取り上げます。

プロトコールを改定して認定臨床研究審査委員会(CRB)にて承認されても、jRCTで改定内容が公開されるまでは、施設管理者の承認を得られている施設も含め旧プロトコールで試験を実施することになります。

もしも、新プロトコールの承認が得られていない施設の存在する時点で、jRCTにて改定を公開すると、承認の得られていない施設は旧プロトコールでの試験もできなくなりますので、注意が必要です。CRBで改定が承認後、すべての医療機関の管理者の承認を得てから、その承認結果と改定内容をjRCTで公開して、全施設が同時に新プロトコールに移行するのが望ましいと思います。

ただし、抜け道もあります。2019年11月13日の厚労省からの臨床研究法Q&Aの「問2-4」において「実施中の多施設共同研究を円滑に進める観点から、例えば、他の実施医療機関の管理者の変更等、自施設における臨床研究の実施に与える影響が乏しい研究計画書の変更に係る実施医療機関の管理者の承認については、各実施医療機関においてあらかじめ定めた手続に基づき事後的に行うこととするなど、可能な限り柔軟に対応することとして差し支えないか。」は「差し支えない。」と回答されています。このように柔軟に対応することも可能なので、その医療機関への影響が乏しいと考える改定であれば、その医療機関は後日に承認を得ることとして、その医療機関の管理者の許可がなくてもjRCTには「承認」として公開することも可能なのですね。その場合も、事後に管理者の許可は必ず取るようにしましょう。

これまでの医学系倫理指針では、各施設の倫理審査委員会(IRB)でプロトコールの改定が承認された場合、その施設においては新プロトコールで試験が実施され、旧プロトコールのみIRBと施設で承認された施設では旧プロトコールで試験が実施されて、複数のバージョンが同時に実施される状況が起こり得ましたが、特定臨床研究ではそのような複数のバージョンで試験が同時に行われることは起こりえないため、ご注意ください。