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オプトアウトとオプトイン

「オプトイン」とは、「意思の伴う参加(同意)」であり、通常の臨床試験は、原則、「オプトイン」で実施されます。それに対して「オプトアウト」は、研究の実施についての情報を通知又は公開して、可能な限り拒否の機会を保障して行う研究を指し、被験者から同意は得ません。

生命・医学系指針では、可能な限り「オプトイン」で研究をすることが望ましいとされています。すなわち、過去のカルテデータなどの用いた研究などでも、もしも、現在も通院していて同意が取得できる状況であれば、同意を取ってから研究をしなさい、ということです。ただ、実際には、現在通院している患者さん全員の同意を取ってから研究をすることは極めて困難ですよね。

ただ、2022年5月26日に出されたガイドラインのQ&A(2-15)には、「同意を取得するための時間的余裕や費用等に照らし、本人の同意を得ることにより当該研究の遂行に支障を及ぼすおそれがあるときには、同号の規定によりこれを行うことが許容される」と書かれています。ほとんどの研究者は、時間的余裕や費用はないですから“時間的余裕や費用がなかったらオプトアウトで研究しても良い”との判断は、画期的ですね。

それでも倫理審査委員会によっては、プロトコール上、同意取得可能な被験者に対してはオプトインで同意を取得する旨の記載が必要と判断されることがあり、その場合には、(ほとんど使われない?)同意説明文書と同意書の書類を作成する必要があります。

UCはCDになることがある。しかし、CDはUCにならない

潰瘍性大腸炎(UC)と思って診断していたらクローン病(CD)だったことを経験したことはありませんでしょうか。UCの診断基準は厚労省難病の下記のホームページに「主として粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸のびまん性非特異性炎症」と書かれています。

https://www.nanbyou.or.jp/entry/218

大腸の炎症があり、感染性腸炎やクローン病、放射線照射性大腸炎、薬剤性大腸炎、リンパ濾胞増殖症、虚血性大腸炎、腸型ベーチェットなどが除外されれば、すべて潰瘍性大腸炎になります。実はクローン病であったとしても、診断時にクローン病の特徴的な所見がなければ潰瘍性大腸炎と診断されてしまう可能性があります。その場合、その後の加療中に典型的なクローン病の所見が出てきて、クローン病に診断が変わります。また、この診断基準より、特徴的な所見からクローン病と診断された患者さんが、潰瘍性大腸炎に診断が変わることはありえないですね。

私も、診断時には潰瘍性大腸炎と診断されたものの、その後、クローン病に診断が変わった患者さんを数人経験しています。潰瘍性大腸炎と診断していても、なにか違うような印象(炎症部位が非典型的であったり、リンパ濾胞の炎症が目立ったりするなど)がある患者さんは、潰瘍性大腸炎ではないかもしれない、と常に思いながら、診療にあたっています。

すなわち「潰瘍性大腸炎」には、いろいろな異なった原因で発症した腸炎をまとめた症候群のような病名と思います。私は、現在、潰瘍性大腸炎と診断されている患者さんには、少なくとも5種類以上の原因があると考えています。幼少時期に発症する潰瘍性大腸炎や、最近、増えてきている50歳を過ぎてから発症する潰瘍性大腸炎は、同じ病名がついていますが、全く別の病気なのでしょうね。

潰瘍性大腸炎は、いろいろな原因の病気の集合体のため、治験などでも成績がバラバラになることが多いように思います。論文報告などでも、地域や人種などでおそらく原因の分布が大きく異なるため、内容にばらつきが大きいですね。潰瘍性大腸炎の原因を解明し、原因から病気を再分類しなくては、良い治療法の開発は困難と思います。早い本疾患の原因解明が待たれます。

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