ブログ

Zelenの方法

皆さんは、「Zelenの方法」をご存じでしょうか。倫理的問題が大きいため、原則として実施してはいけない研究方法ですが、非常に高名な統計学者のZelen先生が、トップジャーナルであるNew Engl J Medで昔、提案した臨床試験の方法です。

一般的な無作為割付試験では、最初に試験内容を説明して同意を得てから無作為に2群に割り付けます。「先呼びかけ・後割付」ですね。

それに対して、Zelenの方法では適格症例に対して、同意を得る前に割付をして新治療になった人のみに参加を呼びかけ、同意を得て新治療を行います。「先割付・後呼びかけ」です。

Zelenの方法

この試験では、新治療を行った患者さんと標準治療群に入った標準治療の集団で比較を行います。臨床の現場の手間としては、単群介入試験を行う場合とほとんど変わらず、簡便に無作為割付試験ができる方法として提案されましたが、現在は、この方法は倫理的問題が大きいため、原則、実施することはできません。

この方法のどこに倫理的問題があるのでしょうか。「標準治療群」に割り付けられた人は、自分が知らないうちに試験の対象者にされて、標準治療の経過を観察されています。自分の情報を自分でコントロールできないことが問題なのです。

よく似た研究方法にヒストリカル・コントロールを比較対照にする研究があります。この方法でも、ヒストリカル・コントロールになる集団からの情報は、研究開始時点までの情報しか使うことはできません。研究開始後の情報も収集したいのであれば、その集団からも同意を得る必要があることに注意しましょう。

コメント

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*