疫学の3分野
人集団を用いて、疾病の発症機序や治療、予防法などを研究する疫学は、「記述疫学」「分析疫学」「介入疫学」の3つの分野に分けることができます。「記述疫学」と「分析疫学」は観察研究になります。
「記述疫学」は、との地域にどのような病気が多いか、時代と共にどのような病気が増えてきたか、などを調べてまとめます。代表的研究として癌登録や人口統計などがあります。データを多数集めて、それをグラフにして、いろいろな仮説を考える学問で、多くの知識や豊かな想像力が必要で、思いもかけない大きな発見ができる可能性もある面白い分野です。
「分析疫学」は、仮説を証明するためにデータを集める研究で、主な手法として「症例対照研究」と「コホート研究」があります。「記述疫学」は、力仕事で大量のデータを集めますが、「分析疫学」は、いかにスマートに必要最低限の情報を集めて質の高い知見を出すかが重要な頭を使う学問です。症例対照研究やコホート研究で使うアンケートは、必要な項目が抜けていたら研究は失敗しますし、たくさんの項目を入れすぎるとアンケートを書くのに疲れて正確な調査ができません。アンケートを見るだけで、それを作った研究者がどの程度優れているのか、すぐに分かります。この分野の研究者は、頭の切れる先生が多いですね。
「介入疫学」は、臨床試験の方法論を理論構築する学問です。臨床試験のいろいろな方法論は、介入疫学により理論構築されています。ただ、介入疫学の考え方は、記述疫学、分析疫学の考え方に基づいて構築されていますので、臨床試験を勉強する時には、介入疫学だけではなく、記述疫学、分析疫学も一緒に勉強するのがお勧めです。
学問は体系的に勉強すると、応用力がついて、飛躍的な研究ができますね。