大腸癌の性差
大腸癌は、男性と女性、どちらが多いのでしょうか。国立がん研究センターの「がんの統計2021」をみると下記のように書かれています。
「がんの統計20201」のホームページ
https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/statistics/pdf/cancer_statistics_2021_fig_J.pdf
2020年の予測大腸癌死亡数:
男性28,800人、女性25,200人
2020年の予測大腸癌罹患数:
男性90,000人、女性68,600人
大腸癌の死亡数は、男性と女性はほぼ同じですが、罹患数は女性に比べて男性は1.3倍多いです。大腸腺腫に関しては、女性に比べて男性はとても多いことが知られています。
この性差は、どのような理由でおこっているのでしょうか。下記のような仮説が考えられますね。
・男性より女性の大腸癌の悪性度が高く、致死率が高い。
・女性の大腸癌の進行が速いため診断されにくい。
・女性の大腸癌は腺腫を経ないものが多い。
・女性は進行癌で発見されることが多い(あまり検診を受けないから?症状が出にくいから?)。
・女性と男性で年齢分布が違う。
・男性は大腸癌になっても他の病気で死亡しやすい。
・女性は大腸癌で亡くなりやすい(貧血の人が多いから?)
・女性の方が抗癌剤や外科治療の成績が悪い。
これらの仮説を検証する方法の一つが疫学です。どのような疫学的手法を用いたら、上記の仮説を証明できるのか、考えると疫学の勉強になりますよ。