試験登録
介入試験では試験を登録することが義務づけられています。これは、薬の評価などで想定外に悪い結果になった場合、メーカーからの圧力で結果が公表されないことがあってはならないので、試験の開始前に実施する試験を登録し、試験の結果まで公表することが義務となっています。
その理由だけでなく、良い結果が出たときのみ論文化され、期待通りの結果が出なかったときには論文化されないことが多い(出版バイアス)ため、どれだけの臨床試験が行われ、期待通りの結果にならなかった試験があったかも公表すべきとの考えからも登録が必要と考えられています。たしかに、有意差のある結果の方が良い雑誌に掲載されやすいですが、差が出なかった臨床試験も、重要な人類の財産ですので、情報を共有することは大切ですね。動物実験などとは異なり、臨床試験は追試が極めて困難ですので、臨床試験はしっかり登録、公表すべきと思います。臨床研究法による特定臨床研究では、jRCTで登録、公開することが義務づけられています。医学系倫理指針による臨床試験はUMINに試験登録をすることが多かったですが、今後はjRCTに登録をまとめる方向で進んでいるようです。観察研究は、登録義務はありませんが、論文投稿の時には臨床試験の登録番号を求められることも多く、最近は観察研究も試験登録することが一般的になってきましたね。