老婆心ながら。
■最初に
こんにちは。京都府立医科大学分子標的予防医学特任教授、医療法人いちょう会石川消化器内科院長、有限会社メディカル・リサーチ・サポート副社長の石川秀樹です。私は、いろいろな立場で長く臨床研究に関わってきましたので、若い研究者の先生方に知っておいてほしいなぁ、と思うことも増えてきました。
そこで、有限会社メディカル・リサーチ・サポートのホームページ内にブログを作りましたので、これから少しずつではありますが、これから研究を始めようと思っておられる先生方にお伝えしたいことを書いていこうと思いました。
雑学的な情報が多いですので、気楽に流し読みして頂ければ幸いです。気になる点や質問などがありましたら、遠慮なくご連絡ください。
■学位(医学博士)とは
ウィキペディアをみると学位とは「大学など高等教育機関や国家の学術評価機関等において、教育課程の修了者又はそれと同等の者に対して学術上の能力または研究業績に基づき授与される栄誉称号を言う」とあります。免許証のような資格ではなく単なる称号なのですね。
ただ、私は学位(医学博士)とは、一人で自由に研究をしても良いという、研究者の免許証のようなものと思っています。
私が若い頃には、「医学博士」と名刺に書いている医師が多かったです。私は兵庫医大を1984年に卒業して、すぐに阪大の第二内科に入局したのですが、臨床をしながら、同時に基礎的な研究もされている先輩方をみて、医師は全員、一度は基礎的研究をするものと思い込んでいました。その頃は、臨床研修が一通り終わったあと、大学に戻り、動物実験や培養細胞実験などの基礎的な研究をすることが医師の一般的なコースだったと思います。一部の先生は、臨床を完全に休止して、基礎系の教室に出向いて徹底的に基礎研究に没頭していました。私も、細胞膜のイオン輸送の研究や、高感度RIA系の開発、家族性大腸腺腫症モデルマウスの飼育、便中胆汁酸のガスクロによる測定など、基礎的な研究をいろいろ行いました。恥ずかしながら、これらの研究成果のほとんどは論文にすることができなかったのですが、その後、基礎的な論文を読むときに、実際の実験の様子をイメージすることができましたので、それらの経験は無駄ではなかったと思っています。また、基礎的な研究を通じて、科学的な考え方をいろいろ教えて頂くことができたと思います。
これらの研究を頑張って医学博士を取得した先生の多くは、研究を止めて臨床に戻ることが多かったのですが、今、考えると、とてももったいないことだったと思います。自動車運転も教習所で練習しているだけでは運転の面白さは分からないですが、免許証を取って好きなところをドライブできて、初めて運転の楽しさが分かります。学位を取るまでは、指導者の下で、言われた研究をしているだけの仮免許状態ですが、学位を取得したならば、自分が知りたいと思うことを自由に研究できるようになり、研究の楽しさを実感できると思います。学位取得のための研究はあまり面白くないかもしれませんが、科学的考え方や、手技、倫理観などをしっかり学んで学位を取得することにより、自然の不思議を解き明かす素晴らしい体験をすることができるようになります。皆さんも、学位を取得して、ぜひとも研究をエンジョイしてください。
コメント
石川先生(西山より)
いつも大変お世話になっております。大変楽しみながら、「確かにそうだな」と納得したり、「私の配慮が足りていないな」と勉強させていただきました。
これからも色々とコメントをお願いできれば幸いです。
西山成先生へ
ブログを読んで頂き、ありがとうございます。
間違いや、気になる点がありましたら、遠慮なくご指摘ください。
今後ともどうぞよろしくお願い申しあげます。