劣性遺伝と優性遺伝
常染色体の主な遺伝形式には、メンデルの遺伝形式をとる「優性遺伝」と、いとこ婚などでリスクが上昇する「劣性遺伝」の2つがあります。この「優性」と「劣性」の単語が、「優れている」「劣っている」とのイメージがあるとのことで、名前を変えようとする動きは、これまでもありました。
2017年に日本遺伝学会から「顕性遺伝」「潜性遺伝」と名称を変更する提案が出され、日本医学会でディスカッションされていましたが、この度、2022年1月に日本医学会より「顕性遺伝(優性遺伝)」「潜性遺伝(劣性遺伝)」と記すように通知がでました。
(参考)優性遺伝と劣性遺伝に代わる推奨用語について
http://www.nihon-eisei.org/wp-content/uploads/2022/01/1yougo-bunkakai.pdf
(参考)検討の経緯に関する参考資料
http://www.nihon-eisei.org/wp-content/uploads/2022/01/2yougo-bunkakai.pdf
これまで長く使っていた「優性遺伝」「劣性遺伝」が使われなくなることは、少し残念ではありますが、きっちりとした手順で決められたことですので、従おうと思っています。
英語からの翻訳の時に、dominantを「優性」、recessiveを「劣性」と直訳したのが問題発生のきっかけですね。私が昔、務めていた「大阪府立成人病センター(現:大阪国際がんセンター)」も、昔は英語表記が「adult disease center」との直訳的な表記だったのですが、実はこれは米国では「性感染症(sexually transmitted diseases; STD)センター」を指していることが分かり、途中で英語表記を変えました。
翻訳は難しいですね。