学位授与を決めるのはだれ?
最近、医療系のベンチャー企業が上場申請する際の事前審査において、東京証券取引所や証券会社は事業計画の蓋然性を極めて重視するとの記事がありました。すなわち、上場しようとするベンチャー企業がいくつの製薬企業と提携しているか、その数でその企業の技術や製品を評価するのだそうです。本来ならば証券会社や東京証券取引所が自ら判断すべきイノベーションの価値の評価を製薬企業に丸投げしているのです。米国の新興市場NASDAQでは、その技術や製品の知財と将来性を自らが評価して上場を決めるそうですので、日本と米国でこの分野の発展に大きな開きが出て当然ですね。この話を聞いた時に、日本における学位の授与のことを思い出しました。
このブログの最初に学位の意味をご紹介しました。学位は研究を自由にすることの免許証であると記しましたが、その学位を授与するのは、指導を担当した教授ですね。指導を受けた研究者が自分自身で科学的に適切な考え方で研究ができると教授が判断した時に学位は授与されることになります。しかし、査読のある英文雑誌に筆頭著者として掲載された場合に、学位が授与されることもあるのではないでしょうか。それは、教授が決めるべき学位授与の可否を、海外の雑誌の編集部に委ねていることになるかもしれません。
適切に物事を評価することは、とても難しく大変なことですが、正しく評価することにより、その分野が大きく発展、進歩しますので、評価は手を抜いてはなりませんが、日本はそれが苦手なようですね。