生じる負担と予測されるリスク及び利益

低用量アスピリンやメサラジンを服用することにより、大腸ポリープの増大が抑制されることが期待されます。

今回、服用するかもしれない低用量アスピリンは、心筋梗塞や脳梗塞の予防に用いる「バイアスピリン®」と同じものですので、バイアスピリン®と同じ副作用が発生する可能性があります。

具体的には、消化管粘膜傷害(胃痛、胃部不快感、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、小腸潰瘍)や出血傾向に起因する疾患(脳出血、吐血、下血、貧血)などです。

重大な副作用としてショック、出血、皮膚粘膜眼症候群、再生不良性貧血、喘息発作があります。低用量アスピリンを服用していなくても、脳出血を発症することはありえますが、本試験で用いる低用量アスピリンと同じ薬を用いた心疾患の臨床試験の集計では、低用量アスピリンを服用しても脳出血の頻度は増えなかったと報告されています。

本試験と同じように家族性大腸腺腫症患者さまが低用量アスピリンを10ヶ月服用した試験(J-FAPP Study II)では低用量アスピリンを服用した17人のうち1人に回腸と直腸の吻合部の潰瘍を認め、2人に貧血を認めました。これら3人の患者さまは低用量アスピリンの服用を中止すると潰瘍は消失し、貧血も改善しました。そこで、大腸手術を受けた患者さまは本試験には参加して頂かないように致しました。

また、4ヶ月ごとに貧血の確認をすることにしました。

大腸内視鏡検査においては、前処置薬による穿孔や腸閉塞、内視鏡挿入時による穿孔、内視鏡腫瘍摘除時の穿孔や出血などの可能性がありますが、これらは一般診療で発生する頻度と同じと考えられます。

この試験の前に行った試験(J-FAPP StudyII、J-CAPP Study)では、喫煙者はアスピリンを服用すると腺腫の発生が促進する可能性があることがわかりました。喫煙者が本試験でアスピリンを服用した場合、腺腫の発生が促進される可能性があります。喫煙される方は、ぜひとも禁煙をしてから参加して下さい。

この試験が原因で健康被害が生じた場合、当医療施設および関連施設で最善の治療を行います。また試験のために発生した健康被害に対する補償については試験全体で臨床試験保険に加入しています。大腸内視鏡検査などで医療事故が発生した場合に対応する医師賠償責任保険には、本試験に参加する医師は全員加入しています。

しかし、これらの保険で補償されない健康被害が生じた場合は、あなたが通常の診療を受ける際に健康被害が発生した場合と同様の扱いになります。

本試験ではお見舞い金や各種手当てなど、健康被害に対する特別な経済的な補償は準備しておりませんことをご了解ください。